Q.離婚するにあたり、名義変更の仕方を教えてください。
5年ほど前に離婚しまして、夫名義のマイホームに私と子供が住んでいます。
住宅ローンがあと数年で終える予定ですが、不動産も住宅ローンも、名義はすべて夫名義です。
私は連帯保証人になっていて、離婚前からローンの支払いは私がしていました。
夫は金銭面にルーズなので、今後も住宅ローン支払いは望めないと思います。
せめて、息子と暮らすための自宅は確保したいのですが、ローン支払いを終えた後に私名義にすることは口頭で約束したのみで、協議書などは作りませんでした。
自宅のローンは私が支払って、名義も自分名義に変えたいのですが、どのようにすれば良いでしょうか?
A.理想は、元夫と話し合いをして、現在の自宅を譲り受けるよう話しをまとめることです。
しかしながら、裁判所を通じての調停は、離婚後2年以上経過しているのでできません。
話し合いのテーブルについてもらうために、あなたが連帯保証人として支払った住宅ローンの支払い分を夫に対して請求し、債権回収の交渉の過程で、自宅の名義を変更する合意をとるといった、高度の交渉が必要です。
まずは、あなたの権利を主張できるよう、元夫に対して求償権を行使してください。
以下は、行政書士の立場から伝えします。
住宅ローンの連帯保証人が返済したときの取り扱い
住宅ローンの利用時に、夫が債務者となり妻が連帯保証人になるケースが少なからずあります。
そして、金融機関等の債権者が、主たる債務者に代わって連帯保証人に対して請求するというケースもあります。
連帯保証人は、債務者と同様に返済の義務を負うからです。
しかし、連帯保証人が債務者に代わって住宅ローンを立替えて支払った場合には、その建て替えて支払った金額を、債務者に対して返してもらうよう請求する正当な権利(求償権)があります。
離婚または別居開始の時期、これまであなたが元夫の代わりに支払った住宅ローンの返済額にもよりますが、交渉の理想の最終形として、立て替えて支払った住宅ローンの求償権と、家の所有権を引き換えにしてもらえるように合意が取れることだと思います。
元夫が交渉に応じない場合
先に記載したとおり、財産分与の請求として家庭裁判所に調停等を申し立てる期間は経過しています。
ですから、交渉に応じない場合は権利を行使するという姿勢を見せながら、交渉に応じるように伝えることから始めなければなりません。
求償権は、消滅時効の起算点や、債権者代位の範囲など、債権回収に詳しいものでなければ難しい事項が多々あります。
このためには、まずはあなたの求償権を行使して、元夫に対して書面で請求することから始めるべきです。
元夫が、はじめから交渉するにあたり難しい相手であることが予想されるなど、いまのうちから困難な交渉が予想される場合には、初めから弁護士さんに交渉の代理人となってもらうことを検討することが良いと思います。