Q.離婚検討中です。
共同名義で、夫70%、妻30%の住宅ローン付き自宅があります。私は正社員で働いており、ローンは自分がすべて払ってきました。
返済はまではあと20年以上あります。
夫は、離婚した後実家に帰るので、自宅には自分が住み続けるつもりです。
離婚するにあたり、名義を自分のものにしたいのですが、どのようにすれば良いでしょうか?
A.端的に言うと、財産分与で双方の持ち分を確定した後、相手の持ち分を買い取って名義を一本化します。
場合によっては、住宅ローンを利用して精算することも可能です。
以下は、元銀行員の住宅ローン診断士、行政書士の立場から伝えします。
離婚後の財産分与における共有財産の考え方
離婚後の財産分与をする場合、特に結婚後住宅ローンを利用して購入した自宅は、一部例外を除いて、不動産名義に関係なく共有財産とみなされます。
よく、名義の割合の問題を持ち出して、夫の名義だから自分のものであるとか、妻名義の持ち分だけ精算すれば良いとか、離婚に際して登記上の持ち分割合を持ち出して主張する場合があります。
しかし、離婚にともなう財産分与の対象となるのは、婚姻期間中にその協力によって得た財産のことです。
したがって、住宅購入時の頭金を、一方の結婚前からの預貯金で賄った場合や、自宅購入にあたって親族からの贈与を受けた場合を除いて、婚姻期間中に購入した自宅は、財産分与の対象となる共有財産とみなされます。
これは、夫が勤務して住宅ローンはその給与から支払っており、一方が専業主婦で住宅ローンの支払いは全くしていなかったとしても、考え方は同じです。
あくまで、夫の給与は、婚姻期間中に双方相互の協力によって得た財産である、という考え方をとります。
この考え方にしたがうと、婚姻期間中にあなたの給与から支払ってきた住宅ローン返済も、共有財産とみなされます。
ですから、あなたがローンを支払い続けてきたからと言って、それが財産形成に著しく貢献したとみなされることはないと思います。
民法768条3項では、離婚のともなう財産分与にあたって、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与させれるべきであるかどうか、並びに分与の額およびその方法を定める、と規定しています。
離婚後に共同名義の住宅ローン付き自宅の一本化する方法
すでに記載したとおり、財産分与を計算するにあたっての共有財産として、自宅の持ち分は50:50であると考えます。
そして、具体的には、以下の計算をします。
たとえば、不動産時価が3,000万円、ローン残高が2,500万円だとします。 このときの財産分与対象額は、以下のようになります。
ですから、不動産の精算額は、この2分の1の250万円が、財産分与として精算すべき金額です。
住宅ローンの一本化は、いま利用中の金融機関に相談しない
不動産の名義を共有にしていることから、住宅ローンはおそらく夫婦の連帯債務として利用しているものと想像します。
少なくとも、ペアローンか、一方が連帯保証人になっている状態であると思います。
そこで、事前に協議してまとまりそうな財産分与案を持って、新たな金融機関に、新規で住宅ローンを利用する、いわゆる借り換えの申し出をしてみてください。
その金融機関で、あなた名義のみ、あるいはあなたの親族を連帯保証人とする住宅ローンの審査が通りそうであれば、結果的に夫名義は残らずに住宅ローンの一本化ができます。
言葉で言うほど簡単ではないかもしれませんが、少なくとも今の金融機関に打診するよりは、可能性は高いと思います。