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離婚後に自宅名義を変更すると、住宅ローンの債務が一括請求されるのですか?

離婚後に自宅名義を変更すると、住宅ローンの債務が一括請求されるのですか?

Q.離婚後、 夫が自宅のローンを払い続け、マイホームには私(妻)と子が住み続けることになりました。

このとき、住宅ローンを取り扱っている銀行には、どのように説明するべきでしょうか?

勝手に登記名義を変更したら、契約違反で銀行からローンの残債を一括請求されるのですか?

A. 財産分与や慰謝料名目で夫から自宅を譲り受ける約束になっているのであれば、自宅の登記名義はあなたの名義に変える旨を金融機関に伝えるべきです。

住宅ローン約款を確認のうえ、必要に応じて住宅ローン取り扱い金融機関宛に報告すべき事項を確認してください。

ローン名義人宛に金融機関からの通知が届かなくなりそうであれば、変更届などを出しておかなければなりません。

奥様がマイホームに住み続けるにあたり、婚姻中と同じ姓を使うなどの理由で、離婚後も自宅宛にあなたの郵便物が届くのであれば、住宅ローン約款をよく読んで、どのような届け出をすべきかを検討してみてください。

基本的に、住宅ローンを取扱う金融機関としては、郵便物等の通知が問題なく届き、ローンが滞りなく支払い続けられるのであれば、大きく問題にすることは無いと思います。

以下は、元銀行員で住宅ローン診断士の立場からお伝えします。

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なぜ離婚時に自宅の登記名義変更をためらうのか?

離婚時に住宅ローンを抱えた方々のでよくある相談事は、「勝手に登記名義を変更したら、契約違反で銀行からローンの残債を一括請求されるのですか?」という質問です。

たしかに、金融機関になんの連絡もせず勝手に登記名義を変更すると、契約違反を指摘されローンの残債を一括請求される可能性はあります。

しかしながら、金融機関としては、担保として申し受けている物件の登記名義を変更されたところで、重大な問題が発生することはほとんどありません。

一般的にほぼすべての金融機関では、住宅ローンを利用すると対象物件に担保(抵当権)をつけています。

金融機関としては、万が一住宅ローンの返済が滞ったときに、担保として申し受けている物件を処分できれば良いので、抵当権の付いた後に名義人を変更されても、先に設定登記している抵当権には全くと言っていいほど影響はありません。

根拠として、民法に以下の条文が定められているからです。

民法第369条  抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

 

金融機関との約束ごと(約款)を確認してみる

日本全国には200行近い銀行と、その他に信用金庫、信用組合等がありそのほとんどの金融機関が住宅ローンを取り扱っていると思われます。

残念ながらすべての金融機関の住宅ローン約款を確認したわけではないのですが、最近設立されたネット銀行などの約款を読んだうえで、自宅の名義を変えることの約定について、以下のような条文が定められています。

(担保の条項) 借主は、担保について現状を変更し、または第三者のために権利を設定もしくは譲渡するときは、あらかじめ書面により銀行の承諾を得るものとします。銀行は、その変更等がなされても 担保価値の減少等債権保全に支障を生ずるおそれがない場合には、これを承諾するものとし ます。

これを文章通り読むと、住宅ローン約款では、 物件の価値が変わらないのであれば、事前に言ってくれれば変更を承諾することを約束する、と約しています。

金融機関によっては、後半部分が無い約款も少なくありませんが、ひとつの銀行のスタンスとして参考になるはずです。

また、この条項に違反したときの、一括返済を求める根拠となる条文は以下の通りです。

債務者等について次の各号に掲げる事由のいずれかに該当し、当行から請求したときは、本契約に基づく債務の全部又は一部につき期限の利益を失い、借入要項に定める返済方法によらず、直ちにその債務を返済するものとします。

p号 当行の承諾を得ないで取得対象住宅又はその敷地若しくは借地権を第三者に譲渡したとき

これを文章通り読むと、 住宅ローン約款では、 金融機関に内緒で勝手に名義変更したら一括返済します、と約しています。

前段の引用も含めて反対に解釈すると、事前に伝えてくれれば名義変更を認めるし、その後も一括返済を求めることなどしない、ということになります。

そもそも、 契約後の事情で契約が守れなくなることによって、金融機関が、約款を杓子定規に解釈して一括返済を求めることはマレだと言い切ってもいいでしょう。

金融機関としては、むしろ余計な波風を立てずに利息も含めて順調に返済されることを望んでいるからです。

登記名義を変更しない場合のデメリット

離婚協議書を作成するプロの文案でも、住宅ローン返済中は登記名義を変更せず、ローンが完済後に速やかに登記名義を変更することを推奨している文案が少なからずあります。

しかしながら、これから長く住むべき自宅の名義を、別れた配偶者名義のままにしておくことは、次のようなリスクを抱えることになります。

不動産の売却リスク

名義のすべてが分かれた配偶者の場合はもちろん、共有名義となっている場合であっても、登記名義人は任意で不動産を売却することが可能です。

簡単に買い手がつくかどうかという問題はあるものの、理屈上は持ち分の売却も可能ですし、少し悪質な金融機関などでは債権回収のため手段を選ばず、一部の持ち分を申し受けて精神的な圧力をかけながら物件売却に持ち込もうとするところもあります。

このリスクを避けるために、少なくとも所有権移転の仮登記などをしておくことを検討しておくべきでしょう。

差し押さえリスク

別れた配偶者が任意で売却するなど想像できないという場合でも、離婚後の環境の変化などがあり意図せず支払いが滞ってしまった場合、不動産名義に分かれた配偶者の名前があることが判明した場合、その物件に対して差し押さえがなされる可能性があります。

とくに、税金の滞納などがあった場合は厄介な問題になります。

実際に差し押さえされた後に競売で落札された場合には、ほぼ間違いなく自宅を退去することを余儀なくされるでしょう。

依然として残る住宅ローン返済遅滞リスク

もっとも、自宅の名義を住み続ける人に変えても、住宅ローンを支払い続けるのが別れた配偶者であるのなら、やはり住宅ローンの返済が滞って競売で落札された場合、退去せざるを得ない事態のリスクは排除出来ません。

しかしながら、この場合でも自宅を売却してローンが完済できて、残余財産がある場合には、登記名義人に財産が残ることになります。

この点を考えても、やはりできる限り住み続ける人に自宅名義を変えておくことが理想であるということになります。

もっとも理想的な最終形

当センターのスタンスは、自宅と住宅ローンの名義は、自宅に住み続ける人に一本化すべきというスタンスです。

マイホームに住み続けたい、という希望をかなえるために、夫名義の自宅と住宅ローンのままで分かれた妻と子が住み続けるということは、その後のトラブル回避という目的を考えて賛同しかねます。

当センターで事前にご相談くだされば、最新の情報と確度の高い借入れ可能性の見通しは立てられると思います。

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