Q.離婚して、共同名義だった自宅を、財産分与ですべて私名義に変更しました。
このとき、アドバイスを頂いて私名義の住宅ローンをあらたに利用しました。
このとき、住宅ローン控除は利用できますか?
なお、住宅ローン控除は夫とも既に受けていて、その期間は終わっています。
A. 財産分与によりその共有持分を追加取得した場合、 一定の要件を満たせば、新たに家屋を取得したものとして、住宅ローン控除の適用を受けることができます。
既に住宅ローン控除期間は過ぎているとのことですが、財産分与により取得した部分を新たに住宅を取得したものとみなしますので、その部分について要件を満たせば、控除は受けられます。
以下は、住宅ローン診断士の立場から伝えします。
財産分与は贈与ではない
住宅ローン控除の適用を受けるには、細かな要件が定めています。
この要件のひとつに、次のような要件があります。
贈与による取得、又は取得の時に生計を一にしており、その取得後も引き続き生計を一にする親族や特別な関係のある者などからの取得は、この特別控除の適用はありません。
(国税庁ホームページより)
住宅を新築又は新築住宅を取得した場合
離婚後も引き続き配偶者と生計を一にするケースはマレでしょうから、その場合は除くとしても、自宅を共有している場合の名義変更は、贈与になると誤解している方が少なくありません。
財産分与による名義の変更部分は、贈与ではなく譲渡によって取得した財産です。
ですから、夫の持ち分を財産分与によって妻名義に変更した場合、夫は譲渡所得の申告が必要になる場合があります。
元へ、つまるところ、贈与による取得には当たらないので、少なくともこの部分の要件に引っかかることはありません。
離婚時に財産分与後の住宅ローン控除を受ける主な要件
離婚後に財産分与により住宅ローン控除を受けるための主な要件は、住宅ローンを要件通りに利用しているかどうかという点です。
夫の持ち分を取得するにあたり住宅ローンを利用していること、およびこの返済方法が10年以上の分割返済であることが、主な要件のひとつです。
特に、過去に住宅ローン控除を受けていたとのことですから、実際に自宅に住んでいることはもちろん、年収要件や床面積要件は満たしているという前提です。
もちろん、住宅ローン審査に通るかどうかという点が懸念である方が多いとは思います。
しかし、離婚後の住宅ローン一本化にあたり住宅ローンを上手に利用すれば、住宅ローン控除等の特典を得て上手に節税できることにもなります。
離婚後の同時に増改築も検討可能
また住宅ローン控除は、増改築資金を住宅ローンを利用することで調達した場合にも、ローン控除の適用対象になります。
新築や購入と同じく細かい要件はありますが、可能性がある以上は検討のテーブルに乗せない手はありません。
財産分与にともなう住宅ローンを一本化するための交渉を検討する際にも、同時に増改築資金の調達部分も含めて交渉したほうが、手続きとしても審査の進行としてもやりやすくなります。
なお、住宅ローン控除の要件には細かい要件もありますので、最終的には税務署等に確認することをおすすめしています。