離婚後、元夫が税金を滞納して自宅が差し押さえられてしまいました。

連帯債務

離婚後、元夫が税金を滞納して自宅が差し押さえられてしまいました。

投稿日:2019年12月26日 更新日:

離婚した元夫の住宅ローンの連帯保証人になっていないかどうか調べる方法はありますか?

 

 

 

 

Q.離婚後、元夫が税金を滞納して自宅が差し押さえられてしまいました。

自宅は元夫と私の共有で、住宅ローンも連帯債務です。

離婚後の住宅ローンは私が全額支払っていました。

自宅が差し押さえられた場合は、手放さざるを得ないのでしょうか?

A.いいえ、差押えされたからと言って必ずしも自宅を手放すことにつながるわけではありません。

ただし、税金滞納による差押えの最速での解決策は、滞納した税金を支払うことです。

しかしながら、今回のようなケースは、滞納しているのが自分ではないのにも関わらず、別れた相手方の負債の弁済をするということで理不尽であろうとは思いますが、まずは資産を守る方法を考えてみましょう。

以下は、元銀行員で住宅ローン診断士の立場からお伝えします。

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住宅ローンの抵当権と税金の滞納による差し押さえはどっちが優先?

結論を先に言うと、抵当権の設定登記日と、差押え原因である滞納した税金等の法定納付日とを比較し、早い方が優先です。

例えば、住宅ローンを今年1月1日に実行し自宅に抵当権を設定登記したものの、相手方が、前年の12月31日が納付期限の税金を滞納したことにより自宅に差押えが為された場合は、住宅ローンの担保よりも、税金の差押えが優先されます。

このように税金等の債権が優先される理由は、国税徴収法にこのような条文があるからです。

国税徴収法第8条(国税優先の原則)

国税は、納税者の総財産について、この章に別段の定がある場合を除き、すべての公課その他の債権に先だつて徴収する。

地方税法にも同様の趣旨の条文があります。

意訳すると、税金を支払わないということは、納税者である国民の財産を毀損することにもなるから、国民の財産を守るために、他の債権者に先立って徴収しますよ、という意味になるでしょうか。

いずれにしても、租税債権は強く優遇された債権であり、自己破産した場合にも、養育費債権と同様に免責不許可となる債権のひとつです。

しかし、何から何まで税金を優先してしまっても秩序を乱すことにも繋がりかねないためか、特に先についている抵当権との優先順位に関しては、次のような条文により、その優先順位が決まっています。

国税徴収法第16条(法定納期限等以前に設定された抵当権の優先)

納税者が国税の法定納期限等以前にその財産上に抵当権を設定しているときは、その国税は、その換価代金につき、その抵当権により担保される債権に次いで徴収する。

やはり一般の抵当権のように登記順ということではなく、抵当権設定登記日が、法定納付期限等以前の場合に、抵当権を優先する、ということになっています。

ですから、先の例のように登記日以前が法定納付期限である場合には、その後に滞納処分差押え登記が為された場合には、租税債権が優先されることになります。

意外にも離婚した元夫の税金滞納により住宅ローン付き自宅を退去させられるリスクは少ない!?

前提条件が、自宅が共有物件であり、住宅ローンは元夫との連帯債務であるという場合です。

この条件のときは以下の状況であることが推察されます。

  • 自宅購入時に金融機関の審査に通り住宅ローンが実行され、当時元夫の個人信用情報に懸念は無かったこと
  • 税金滞納し始めたのは、離婚前後のことであり、いずれにしてもローン実行後であること
  • 住宅ローンと物件時価はほぼ同じくらいの金額であること

先に結論を記載した通り、最速での解決策は、滞納した税金を肩代わりして支払うことです。

しかしながら、自分が滞納したわけでもない元夫の税金を払うことには当然抵抗があるでしょうから、ひとまず落ち着ちついて情報収集をしてみましょう。

どんな情報を収集するかというと、この差押えにより退去せざるを得なくなるリスクを判断するための情報です。

具体的には、以下3つの情報です。

  1. 住宅ローン残高
  2. 自宅の時価評価
  3. 差押え対象となった租税債権の法定納付期限

1.は返済予定表を見つけるとすぐに分かります。

2.は不動産屋さんに査定をお願いすればすぐに算出してくれますし、弊所に電話でご相談して頂いてもすぐに分かります。

3.は、元夫が分かってると思いますが、そもそもそれら管理ができていないから滞納している人が多いと思います。

そこで、元夫に対しては、差押通知書を出して欲しいと伝えてください。

通知書には法定納付期限が記載されています。

その通知もどこにあるか分からなかった場合、ここは遠慮なく、差押えをした行政機関に直接確認する方が良いでしょう。

物件の共有名義人であると伝えれば利害関係人であることが分かりますので、法定納付期限くらいは教えてくれるはずです。

同時に、滞納している金額の総額を確認してください。

登記簿には、税金の滞納額は記されないので、少額なら支払っても良いというようなことをほのめかせば、これも利害関係人であることが分かってもらえれば、金額も問題なく教えてくれるはずです。

住宅ローンの実行日と法定納付期限を比較

先で確認した法定納付期限と住宅ローン実行日を比較して、住宅ローン実行日が先だった場合は、強制的に退去せざるを得ないリスクはかなり低いと思われます。

そればかりか、行政機関に交渉すれば、滞納した税金を支払うことなく差押えを解除してもらえる可能性も出てきます。

住宅ローン実行日が法定納付期限より先だった場合は、先の通り、自宅の時価評価額と住宅ローン残高を確認してください。

このとき、自宅の時価評価額と住宅ローン残高ほぼ同じ、または住宅ローン残高が上回っており、売却しても利益が出ないかローン残高が残る物件である場合は、差押えを解除することができる可能性が高まります。

なぜなら、さすがに差押えを実行した相手はお役所の職員ですから、法律上の根拠に基づいて仕事をしていますので、おなじく法律上の根拠に基づいて、差押え解除の交渉可能性を模索するべきだと思います。

差押えを解除するのために有効な根拠は以下の通りです。

国税徴収法第48条 (超過差押及び無益な差押の禁止)

2項 差し押えることができる財産の価額がその(中略)合計額をこえる見込がないときは、その財産は、差し押えることができない。

要すれば、明らかにオーバーローンの物件は差押えできないという規定です。

国税徴収法第49条 (差押財産の選択に当つての第三者の権利の尊重)

徴収職員は、滞納者の財産を差し押えるに当つては(中略)その財産につき第三者が有する権利を害さないように努めなければならない。

ここでいう第三者が有する権利には、共有名義人が有しているであろう使用貸借権も含まれます(国税徴収法49条関係法令解釈通達より)。

つまり、いま現在の自宅に居住している人とは関係ない人の税金の滞納を原因として自宅が差押えられた場合、居住する権利を害することになりますので、本来差押えをすること自体にも慎重に取り扱わなければならないはずなのです。

 

いずれにしても、差押えが為されたからと言って、すぐに退去しなければならないのかのように、慌てる必要はありません。

まとめると、まずは以下3点を正確に把握するようにしてください。

  1. 住宅ローン残高
  2. 自宅の時価評価
  3. 差押え対象となった租税債権の法定納付期限

特に3を確認し、住宅ローンの抵当権設定日よりも法定納付期限が遅かった場合には、そのままトントン拍子で差押えから公売に移って退去を迫られる可能性は、極めて低いと思われます。

もっとも大事なことは、事実確認を淡々と済ませ、状況を冷静に判断し、交渉できることは交渉することです。

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