Q.離婚協議中です。
2年前に住宅ローンを利用してマイホームを夫と妻50%ずつの名義で購入した。まだローン残高はほとんど減っていません。
住宅ローン残高は不動産屋さんの物件評価よりも上回っています。
夫からは、自宅を売って残りの負債を分担して支払うよう要求されました。
けど、夫の預金はその負債以上あります。
夫は、これは自分の預金名義だから自分の物だと主張しており、財産分与するつもりは無いようです。
この場合、夫の預金はどのように財産分与するべきなのでしょうか?
A.夫の預金は、いつからどのように形成されたのかが問題になります。結婚後の給与所得で形成されたものであれば、財産分与の対象になります。
以下は、行政書士の立場からお答えします。
夫名義の預貯金の財産分与
協議離婚の際に請求できる財産分与の対象となるのは、夫婦が同居して互いに協力しあって形成された財産です。
夫の預金が、結婚後の給与所得から形成されたものであれば、当然財産分与の対象になります。
反対に、妻が婚姻中に給与所得などを得て形成された預貯金も、財産分与の対象になります。
一方で、夫名義の預貯金のうち、結婚前から持っていた預金は、財産分与の対象になりません。
ですから夫名義の預金が、結婚後に形成されたものなのか、それとも結婚前からのものであって、それを夫が主張するのか、によって財産分与の対象となるか否かの判断が為されます。
離婚のとき、住宅ローンがオーバローンである場合の財産分与
住宅ローンがある自宅の評価で、特に結婚後に自宅を購入して、同時期に住宅ローンを利用して購入したものであれば、ほとんどの場合共有財産として扱われます。
不動産の名義のみで判断されるわけではありません。
住宅ローンがある場合の自宅の評価は、自宅の時価からローン残高を差し引いて評価額を算出します。
自宅購入は、特有財産がなく共有財産で購入したとします。
例えば、不動産時価が1,900万円、ローン残高が2,000万円の場合、以下のような計算になります。
= 1,900(万円)ー2,000(万円)
= ▲100(万円) = 財産分与対象額
そして、この他の共有財産が、夫名義の預貯金300万円であったとすると、共有財産は、以下のようになります。
他の預貯金+マイホーム財産評価
=300万円+(▲100)万円
=200万円
つまり、200万円の2分の1である100万円を分け合うということになります。
夫名義の預貯金が特有財産であると認められた場合
今回のケースでは、質問内容では夫の預金が、結婚後形成されたものなのか、結婚前から持っていたものなのかはっきりしませんので、確定した答えは言えません。
もし、結婚前から持っていたものであると認められた場合には、両者の共有財産としての自宅は、オーバローンの状態となります。
オーバーローンの場合で、共有財産が自宅のみの場合は、評価額0円として扱います。
ですから、財産分与の対象は無いということになります。
離婚するときの住宅ローンがオーバローンである場合・まとめ
財産分与の対象が無いからといって、オーバローンの自宅の問題が解決するわけではありません。
とりわけ、自宅を売却しようとしているのであれば、このままの状態では抵当権者である金融機関が、簡単に売却に応じないと思います。
現実として、特有財産といえども預貯金がオーバローン相当額を上回っているので、売却の諸経費に約100万円くらい掛かるとしても、この際売却してしまおうという選択もあるかと思います。
このような問題の際、夫婦間で協議すべきは、理想の最終形を互いに協議するということだと思います。
つまるところ、どちらかは自宅に住み続けてたいのか、どちらも自宅は手放したいと考えているのか、ということです。
互いに、自宅に未練が無いのであれば、環境的には、夫名義の預金を使えば、自宅の売却はできそうです。
しかしながら、どちらか一方が、そのまま住み続けたいということであれば、共有名義の自宅と住宅ローンを一本化して、財産分与を完了させるという選択肢もあり得ると思います。
現実的に、離婚にともなって住宅ローンを一本化して、共有名義を解消して財産分与を完了させられるケースも少なくありません。
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