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離婚後も夫が当然住宅ローンを払い続ける、と思い込んでいるときの思わぬリスク

投稿日:2018年11月6日 更新日:

離婚後も夫が当然住宅ローンを払い続ける、と思い込んでいるときの思わぬリスク
Q.離婚します。私と子供は自宅に住み続け、夫が出ていきます。
いまの自宅名義も住宅ローン名義も夫で私は連帯保証人になっています。
 
離婚原因が夫であることもあって、慰謝料や養育費の対価としてこのまま住宅ローンを払い続け、ローンが支払い終わったら自宅は私に譲ってくれると言っています。
私は正社員で働いているのですが、いま育児休業中で給与はもらっていませんが、来年には復帰する予定です。
 
万が一、夫がローン支払いができない場合は、連帯保証人の私が住宅ローンの支払いをしようと思っています。
この言葉を信用していて良いものでしょうか?なにか対策をしておくことはありますか?

A.あなたに住宅ローンの返済能力があるのなら、今のうちに自宅と住宅ローンの名義をあなたに変えるべきです。

慰謝料と養育費は、別に支払う約束をして、離婚協議書等に落とし込む方が良いです。

以下は、住宅ローン診断士、行政書士の立場からお答えします。
 

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離婚後の、自宅と住宅ローン名義の原則

 
当センターでは、離婚後の自宅と住宅ローンの名義は、可能な限り自宅に住み続ける人の名義に一本化するべきであると提案しています。
このため、案件毎に、一本化するにあたって住宅ローン審査が通りやすい金融機関を選定して提案しています。

あなたが今正社員として働いているのなら、あなた名義で住宅ローンが利用できる手段を考えるべきです。

前年の年収の証明が取れないのであれば、離婚後2年以内に住宅ローンをあなた名義に借り換えて、自宅名義とともに変更するという内容の離婚協議書を作成すれば良いです。

どうしても住宅ローン審査が通らない見通しであれば、その次の手段として、離婚協議書等で極力リスクを排除するように対策をすれば良いと思います。
ただし、離婚協議書でも相手の行動や、支払いを担保するには限界があります。

離婚後、夫名義の住宅ローン付自宅に住み続けるリスク

夫は上場企業に勤めているから大丈夫、公務員だから問題ない、と思っていても、あくまで将来のことにはリスクがともないます。
いくら離婚協議書でも、以下のリスクを完全に排除することはできません。

  • 勤務先倒産、退職リスク
  • 住宅ローン支払い遅滞リスク
  • 不動産売却、担保設定リスク

 

勤務先倒産リスク、退職リスク

勤務先がいま安定しているとしても、将来の安定度まで予測することはできません。
また、勤務先が安定しているとしても、退職される可能性は0にできません。

思わぬ病気やケガを余儀なくされる場合も想定しておくべきです。

とりわけ、離婚後は生活を別にするのですから、普段の様子や体調など管理することも不可能に近いと思われます。

住宅ローン支払い遅滞リスク

元銀行員の立場から、以下お伝えします。

ローンの支払いが滞るケースは、大きく分けて2つあります。
ひとつは、収入源などで支払い能力が無くなる場合です。

そしてもうひとつは、支払うお金(能力)はあるにもかかわらず、自らの意思で払わないという、支払い意思が無くなる場合です。

厚生労働省の『平成28年度 全国ひとり親世帯等調査結果の概要』によると、養育費の取り決めをしている母子世帯の割合は42.9%(前回平成23年度調査時37.7%)、そして母子世帯全体での養育費の受給状況は、父親から現在も養育費を受け取っている世帯の割合が24.3%(同19.7%)です。

つまり、養育費を取り決めしていても、その後養育費を受け取っている世帯の割合は、約半数の56.6%ということです。

離婚後の夫にも、それぞれに生活の変化があるでしょうから、支払い意思が乏しくなることも容易に想像できるのです。

 

不動産売却、担保設定リスク

現在の不動産の名義は100%夫の名義であるということは、不動産の処分する決定は、夫の意思で決めることができる状態であるということです。

売却こそ、あなたが住み続けている以上、買い手側も状況を考慮するでしょうから、簡単に買い手が見つかりにくい状況ではありますが、いつの間にか売却するという可能性は排除できません。

それ以上に、不動産担保ローンなどで、いつの間にか自宅に住宅ローンの担保とは別の抵当権が設定されるという可能性もあります。
担保設定は、居住しているあなた達には何も通知せずに設定登記することができます。

ですから、ローンの支払いが終わっても未だ別の担保が付いているという可能性も否定できないのです。
 

離婚後の、自宅と住宅ローン名義のまとめ

 
繰り返しになりますが、当センターでは、離婚後の自宅と住宅ローンの名義は、可能な限り自宅に住み続ける人の名義に一本化するべきであると提案しています。
 
一本化の時期は、必ずしも離婚までにしなければならないわけではありません。
 
離婚協議の際に、理想の最終形をしっかりと示して、離婚後に住宅ローンの名義を変更する手続きをとることの了解を得て、その前提での離婚協議書を作成するべきでしょう。

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