Q.離婚します。私と子供は家を出て実家に戻り、主人がマイホームに住み続けます。
親権や養育費、財産分与も問題なく協議できそうです。私が、家の住宅ローンの連帯債務者となっていることだけが問題です。
住宅ローンを取り扱う銀行に、連帯債務を外してほしいと交渉したのですが、無下に断られました。
夫は、住宅ローンは自分が払い続けるから問題ないとは言っていますが、これから数十年先の将来のことまでの約束となるとどうしても心配になります。
連帯債務から外れる方法はありますか?
A.方法はあります。夫の住宅ローン審査の評価次第ですが、夫に一本化の可能性はあります。
以下は、元銀行員で住宅ローン診断士の立場でお伝えします。
離婚後の自宅名義の理想的最終形
当センターでは、離婚後の自宅と住宅ローンの名義は、可能な限り自宅に住み続ける人の名義に一本化するべきであると提案しています。
その際、自宅の名義はともかく、住宅ローンの名義が共有名義になっている場合、離婚後も住宅ローンに関する債権債務関係が残ることになり、トラブルの要因となりかねません。
ですから、焦点を住宅ローン名義の一本化ということに絞って検討します。
なぜ離婚時の住宅ローン名義一本化は難しいのか?
なぜ離婚時の住宅ローン名義の一本化が難しいのかというと、住宅ローン名義の一本化を了承する交渉相手にとって、住宅ローン名義の一本化のメリットが無いからです。
いままで債務者が2人だった連帯債務での住宅ローンの一本化を承諾すると、債権を回収できる相手が単純に1人減ることになります。
そもそも、夫婦の連帯債務で住宅ローンを利用しているということは、契約当初は収入を合算して審査をしたものと思われます。
一本化を申し出ると、契約当初合算した収入のうち、一人分の収入が減ることになります。
金融機関としては、とても承服できる話しではないのです。
住宅ローンの名義変更の交渉相手は、利用している金融機関です。
相手にとってデメリットしかない交渉であって、しかも相手にとっては必ずしも承諾する必要の無い事ですから、ほとんど交渉のテーブルにすら付けないというのが現実です。
金融機関にとって、住宅ローンを返済する債務者が2人から1人になることは、デメリットしかありません。
ですから当センターとしては、住宅ローンを承諾することによって、メリットがある先に対して交渉を持ちかけるべきである、と考えています。
住宅ローン審査、新規申込みであればテーブルに乗りやすい
銀行は、慈善事業ではなく、ほとんどが利益を追求する株式会社です。
住宅ローンのように多数の書類を申し受けて手間暇をかけて審査の作業をするにあたっては、その仕事を終えた後に報いがある方が、仕事のモチベーションが保てます。
ですから、いま住宅ローンを利用している金融機関とは別の金融機関に対して、いままでの住宅ローンを借り換えたいという前提で、住宅ローンの新規申し込みをすることをお勧めしています。
質問の答えとして、連帯債務から外れる方法は、夫名義100%で、他の金融機関への借り換えをして、現在の住宅ローンを完済させるという手段が、一番適しているということです。