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離婚済みで住宅ローン名義の一本化したいものの、元夫と連絡がとれません

投稿日:2020年10月2日 更新日:

離婚済みで住宅ローン名義の一本化したいものの、元夫と連絡がとれないのです・・・

 

 

 

 

Q.家と住宅ローンを私名義に変えたいのですが、夫と連絡がとれません。

離婚したのは2年前で、家もローンも元夫名義のまま子供と住み続けています。

ローンの支払いは元夫の通帳に私が入金して支払っていますが、これでは住宅ローン控除も受けられません。

このままですと、いずれローンを支払い終わっても名義変更もできないことになってしまいます。

この状態で、自宅も住宅ローンも私名義に変更する方法はありますか?

A.方法はいくつかありますが、離婚後2年以内であると選択肢が増えます。

いずれにしても、名義の問題は早めに手続きしてしまったほうがよいでしょう。

時間が経過すると、想定しないトラブルになる可能性もあります。

以下は、元銀行員、行政書士の立場から伝えします。

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離婚後2年以内に手続きできること

ご相談内容からみて、おそらく財産分与等の話し合いはせずに、少なくとも離婚協議書等の書類を残さないで離婚されたものと思います。

そのまま連絡が取れない状態でどうしようも無いと思われているかもしれませんが、離婚後の元夫名義のローン返済はあなたがしているのですから、しっかりとあなたの権利を主張して財産分与で自宅名義をもらうべきでしょう。

具体的には、離婚後2年以内ですと、家庭裁判所に財産分与を求めて調停を申し立てることができます。

相手方があなたと会いたくない場合であっても、家庭裁判所から呼び出しがあると裁判所には足を運んでくれるケースはよくあります。

財産分与の調停で、以降ローンの支払いを引き受けるので自宅を財産分与で申し受けたい、と申し出れば、相手方さんも銀行の債務者から外れることができるというメリットがあります。

自宅に多額の含み益がある場合を除けば、よほど偏屈な考え方をする人でない限り、素直に応じてくれると思います。

調停調書には、次のような趣旨の文言を入れるよう申し出てください。

『相手方(元夫)は、申立人(元妻)に対し、離婚に伴う財産分与として、別紙物件目録記載の不動産を譲渡することとし、本日付財産分与を原因とする所有権移転登記手続きをする。』

この文言が記載された調停調書または審判書があれば、以降は相手方の協力がなくても、いつでも不動産名義を変更するための登記手続きができます。

住宅ローンに関しても、次のような文言を入れてもらうと良いです。

『申立人(元妻)は、債務者を相手方(元夫)とする不動産に係る住宅ローンの残債務を併存的に引き受ける』

この文言があれば、あとはあなたが銀行でローン審査に通れば、すべての名義一本化ができますし、ローン名義を変更すれば住宅ローン控除も受けられます。

 

相手方の住所が分からなくても、相手方に送達する方法はあります。

詳しくは、弁護士さんか司法書士さん、または家庭裁判所に直接問い合わせしてください。

離婚後2年以上経過している場合

このときは、残念ながら裁判所に調停を申し立てることはできません。

しかしながら、このときでも相手方の住所を探って郵送等で連絡する手段はあります。

相手方の住所を探るというと探偵さんにお願いするなどと想像するかもしれませんが、決してそれだけではありません。

あなたはこれまで、相手方名義の住宅ローンを支払っていたのですから、法律上、その支払った金額を相手方に請求する権利があります。

またそれ以外でも、離婚後に連絡が取れないとのことですから、養育費なども支払われていないのではないかと想像します。

養育費は、あなたではなく子供が請求できる権利ですから、この請求もしっかりとすべきだと思います。

いずれにしても、相手方に対してこれらの請求権がある場合は、相手方の住民票を取得できます。

自分で取らなくても、請求権を行使するために内容証明郵便等を発送することを弁護士や行政書士に依頼し、あなたが相手方に対して正当に債権があることを示せば、職権で住民票を取得することもできます。

住民票さえ異動していれば、相手方の居住地は分かります。

いずれにしても、離婚後2年以上経過している場合は、先のような合法的な手段で相手方の住所をつきとめて、交渉して自宅とローン名義の一本化をすべきでしょう。

あくまで経験上の個人的意見ですが、連絡さえついて代理人を通じてでも話し合いができる環境になれば、このケースでは相手方は拒否はしないでしょう。

意外と厄介な銀行の住宅ローン繰上げ返済手続き

やはり難しいことは、離婚にともなう住宅ローンの審査に通してことなのですが、こればかりは簡易審査でもして見通しを審査するしかありません。

住宅ローン審査も然ることながら、たとえば今利用している銀行等以外の金融機関で住宅ローン審査が通った場合、元夫名義の住宅ローンを全額繰上げ返済して、新たな金融機関とローンを組み直すことになります。

しかし、この全額繰上げ返済手続きに想定外の手間がかかる場合があります。

具体的には、繰上げ返済するにあたって、本人(元夫)が銀行の窓口にきて本人が手続きしなければ、繰上げ返済はできない、と言われることがあるからです。

いまは、過度とも思えるほど銀行では本人確認、本人確認といってほとんどの取引でも身分証の提示を求めてきます(それなら銀行届け出印を押す必要は無いと思うのですが)。

中には『当行では面前自署押印が原則です。』などともっともらしいことを言って、本人手続きが原則であるようなことを言われ、他者が繰上返済の手続きをすることを、事実上断るようなことを言われることもあります。

しかしながら、このようにわざわざ本人が出向いて繰上げ返済手続きをしないと手続きできない、という銀行の要請には、法律上の根拠は乏しいと考えています。

根拠条文は以下です。

民法474条1項 債務の弁済は、第三者もすることができる。

もちろん、ただし書きや例外規定もあるのですが、返済のときまで厳格に「本人ガー」と要請するのは、少し違うと思っています。

そもそも面前自署押印の原則は、融資の実行の際の原則です。

銀行はお客様から預った預金を融資するため、本人確認はもちろんのこと、債務者に借入れ意識を持たせること、そして返済意思を慎重に確認するための原則であって、全額返済の本人確認を厳格にするための原則ではありません。

むしろ銀行にとっては、融資したお金が返ってくることにはリスクはありません。

繰上げ返済時に、本人に来店を求めるなど過度に債務者の時間を奪う事務手続きを要請することは、広義には優越的地位の濫用でもあろうかと考えています。

事実として、銀行でなく住宅ローン専門会社での繰上げ返済手続きは、ほとんどが郵送手続きで済みます。

いま連絡のつかない夫で、さらに実は遠方にお住まいで銀行の繰上げ返済手続きに支障がある場合など繰上げ返済手続きに支障がありそうな場合、書面にて権利を主張して手続き緩和を交渉することは可能です。

 

いずれにしても、あなたの持つ権利をしっかりと行使すれば、相手方の住民票上の住所を調べることは決して困難なことではありません。

ご本人宅にいきなり訪問することは気がひけるかもしれませんので、その際には行政書士等の専門家にご相談ください。

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