Q.1年前に離婚して、夫名義の自宅に私(妻)と子供が住み続けています。
住宅ローンも夫名義ですが、離婚後は私がローンを支払い続けています。
このまま支払続けていても、いずれ自宅名義や住宅ローン名義の変更手続きが必要になると思います。
いつ、どのタイミングで話し合いをすれば良いでしょうか?
A.まず、離婚後2年以内に財産分与の請求をしてください。
そして、自宅の双方持ち分を特定した後に、あなたが夫名義の持ち分を買い取って、自宅名義をあなた名義に変更する必要があります。
離婚後2年を過ぎると、財産分与の請求自体できなくなるので注意が必要です。
以下は、住宅ローン診断士、行政書士の立場から伝えします。
離婚後2年以内にしなければならない財産分与の請求
いま住み続けているマイホームの名義が100%夫名義のものの持ち分を特定する必要があります。
前提条件にもよりますが、結婚後に住宅ローンを利用して購入したマイホームの名義は、登記上夫の単独名義であったとしても、財産分与の請求によりあなたの持ち分が認められる場合が多いです。
そもそも、離婚後の財産分与においては、登記上の名義が夫婦のどちらであるかということで、財産分与の割合が変わることはありません。
ですから、まずは財産分与の請求をして、マイホームの持ち分を特定することから始める必要があります。
この財産分与の請求ですが、見解に複数あるものの、離婚後2年経過すると財産分与を請求する権利が無くなるという見解が一般的です。
もし、あと数日で離婚後2年を経過しそうであれば、急いで家庭裁判所へ調停の申し立てをする必要があります。
財産分与請求権は、2年で時効になるのでなく、除斥期間が経過するという考え方ですから、たとえ直前に内容証明郵便を送っても、請求できる期間を伸ばすことができないからです。
離婚後2年以内に、家庭裁判所に調停や審判の申し立てを済ませれば、その調停や審判が確定するまでは財産分与の請求はできます。
住宅ローン残高と財産分与の関係
住宅ローン支払中とのことですから、当然住宅ローン残高が残っている状態だと思います。
このとき、マイホームの財産価値は、時価からローン残高を差し引いた金額になり、これを折半するように調整します。
現在も住み続けて、住宅ローンの支払い負担もあなたが続けているとのことですから、名義を移すことについて争いは起きないと思います。
焦点は、相手持ち分を買い取るときの調整金額になると思います。
ローンの残高が多ければ、その分財産価値は低くなります。
しかし、考えようによっては相手の持ち分を買い取るための調整金の負担も少なくて済むことになります。
また、相手に支払う調整金額にもよりますが、自宅の買い取りですからある程度はまとまった資金を用意する必要があるでしょう。
ですから、親類等を頼って資金を調達するケースもありますが、できることなら自身で調整金を調達することを検討するのが良いでしょう。
具体的には、住宅ローンの申し込みをして、自宅も住宅ローンの名義もあなたに一本化できるように検討するのが良いでしょう。
離婚後に支払った住宅ローン返済金の取り扱い
ところで、離婚後になにも話し合いがまとまらないまま、夫名義の住宅ローンの支払いをあなたが負担していたとのことについてです。
婚姻中でない期間にあなたが負担した住宅ローンの返済金額は、夫に対して住宅ローン支払い負担相当額を請求する権利(求償権)があります。
ただし、予め夫があなたに対して住宅ローンの支払いの肩代わりを拒否している場合を除きます。
ですから、財産分与により互いの持ち分が確定し、相手の持ち分を買い取り調整金を支払うにあたり、あなたが離婚後に支払った住宅ローン返済金額を、その調整金から差し引くよう交渉することも可能です。
つまるところ、支払う調整金をできるだけ少なくできるよう、法律で認められる範囲で検討できるようにするべきであるということです。