オーバローン 事例 - 王子十条行政書士事務所 財産分与

離婚後の住宅ローン、オーバーローン部分の妻の負担について

投稿日:2018年11月29日 更新日:

離婚後の住宅ローン、オーバーローン部分の妻の負担について

Q.結婚してマイホームを買いましたが、離婚することになりました。住宅ローン残高は自宅時価を上回っている、オーバーローン状態です。

自宅も住宅ローンも自分名義です。

私は、この際自宅を売ってしまい、残ったローンを妻と分担して支払っていこうと思っていますが、妻は自分の名義ではないからと言って納得しません。

妻に財産分与としてローン負担をしてもらうにはどうすれば良いですか?

A.自宅以外に共有の資産がなければ、妻にローンの負担を分担してもらう方法はありません。

離婚にともなう財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に協力して形成した財産を、協議離婚のときに分与することです。
負債を分担するという考え方ではないのです。

以下は、元銀行員の住宅ローン診断士、行政書士の立場でお答えします。

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離婚のときオーバーローンの自宅の財産分与

財産分与の考え方は、夫婦が婚姻期間中に協力して形成した財産を、協議離婚のときに分与することです。

負債は、他の資産と通算して純資産を算出し、純資産を2分の1づつ分与するという計算をします。

自宅価値が、住宅ローン残高を上回っている、いわゆるアンダーローンの状態を考えると分かりやすいと思います。

例えば、共有財産が自宅のみの場合、財産分与の対象となる純資産の残高は、以下の式で純資産を算出します。

共有財産残高 - 負債残高
= 不動産時価 - 住宅ローン残高

例えば、自宅時価が2,500万円、ローン残高が2,000万円の場合、以下のように純資産が500万円になります。

不動産時価 - 住宅ローン残高
= 2,500(万円)ー2,000(万円)
= 500(万円) = 財産分与対象額

この500万円を、離婚の際に2分の1ルールで分与します。

この住宅ローンがオーバーローンの場合が問題です。
例えば、自宅時価が1,900万円、ローン残高が2,000万円の場合、以下のように100万円のオーバーローンの状態です。

不動産時価 - 住宅ローン残高
= 1,900(万円)ー2,000(万円)
= ▲100(万円) = 財産分与対象額

このとき、もし夫婦の共有財産に、100万円以上の預貯金や保険、株式等がなければ、財産分与額は0円という評価になります。

なぜ離婚時の負債は分与されないのか?

結論を言うと、離婚者同士の協議で、金融機関等の債権者の権利を変更できないからです。

金融機関としては、あくまで夫が100%債務を負うという契約をしているので、債務者の離婚という都合によって、これを妻と50%ずつにしてほしいと言う申し出に応じる必要は無いのです。

特に金融機関としては、住宅ローン等の定形型の商品について、契約後の内容変更の申し出に対しては、消極的であることが多いです。
なぜかというと、変更の申し出に対応することの、金融機関側のメリットが全く無い場合がほとんどだからです。

あくまで個人的意見ですが、渋々応じるけど仕事として嫌な変更内容として、一部繰り上げ返済があります。

これも、内部で手間暇はかかるものの、金融機関にとってはほとんどメリットがありません。

繰り上げ返済手数料くらいでは全然元の取れない取り引きなのです。

離婚時の住宅ローンのオーバーローン、選択肢は?

話しを元へ。

では、離婚時に住宅ローンがオーバーローンであった場合で、債務者が夫のみである場合、どのような選択をするべきなのでしょうか?

結論を言うと、以下2つのどちらかの選択になります。

  1. ローンを支払い続けて、不動産を他者に貸す
  2. 任意売却する
  3. そのまま住み続けてローンを支払い続ける

そもそも、そのまま住み続けてローンを支払い続けたいという人で、ローンの支払い能力もあるという3の選択ができる人であれば、離婚時のオーバーローンの状態では悩まないと思います。

あくまで私見で環境にもよりますが、1の他者に貸し出すことを検討すべきです。

そのままローンを払い続けられるのであれば、任意売却は最終手段とすべきです。

ローンが支払い続けられないのであれば、どちらにせよ売却せざるを得なくなります。

1の他者に貸し出す場合の問題点は、住宅ローンの契約約款に違反してしまうことです。

ですから、このときこそ金融機関に事情を話して、ローン種類を変更するか、賃貸専用のアパートローンなどに借り換えの申込みをして、堂々と家賃収入を得て不動産を賃貸すれば良いのです。

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